1,000℃超でも高断熱性を維持する RCFフリー工業炉用断熱材を開発
2017年3月22日
1,000℃超でも高断熱性を維持する RCFフリー工業炉用断熱材を開発
工業炉で検証し、従来比 13%の省エネルギー効果を確認
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
クアーズテック株式会社
NEDOプロジェクトにおいて、クアーズテック(株)は 1,000℃を超える高温域でも熱伝導率が上昇しない、新たな RCFフリーの工業業炉用断熱材の製造技術を開発しました。その結果、この断熱材を実際の工業炉を用いた検証により、従来比 13%の省エネルギー効果を確認しました。

1. 概要
鉄鋼、ガラス、セラミックスなどの製造に用いられる工業炉はエネルギー消費量が多く、省エネルギー化が強く求められています。しかし、従来の断熱材は高温域で熱伝導率が上昇してしまうため、高温用工業炉の高断熱化は困難でした。また、これまで工業炉用断熱材として広く用いられてきたRCF(リフラクトリーセラミックファイバー)※1の人体に対する有害性が認知され、RCFを含有しない工業炉用断熱材が強く求められています。
今般、NEDOプロジェクト※2において、クアーズテック株式会社はセラミックスの多孔化技術を応用し、断熱材に含まれる気孔径を制御することで高温での熱伝達を支配するふく射の伝搬を抑制し、1,000℃を超える高温域でも熱伝導率が上昇しない、RCFフリーの断熱材の製造技術を開発しました。また、開発した断熱材の省エネルギー効果検証として、実際の工業炉を用いた消費エネルギー比較試験を実施し、これまで一般に用いられてきた断熱材であるRCFボード使用時に比べて13%の消費エネルギー減を確認しました。
2. 今回の成果
【1】気孔径の制御による高温熱伝導の抑制
断熱材における熱伝導は、固体による伝熱、気体による伝熱、電磁波による伝熱、の3種類に大別されます。高温域では、ふく射と呼ばれる電磁波である光による伝熱が支配的となるため、高温で高い断熱性を得るためにはふく射による伝熱を抑制することが重要となります。クアーズテック(株)は断熱材中に含まれる気孔の大きさをふく射光の波長と同程度のシングルミクロンに制御し、ふく射光を効率良く散乱させることで高温域における熱伝導率の上昇を抑制した断熱材を開発しました。また、気孔径制御と気孔率向上を両立させる技術を開発し、断熱材の低密度化に成功しました。これにより、断熱材の体積当たりにおける熱容量が低下し、省エネルギー効果の向上が見込まれます。
なお、本開発断熱材はRCFを含有しないため、本開発断熱材を用いた作業が特定化学物質の取り扱いに該当することはありません。

【2】キャスト成形による形状自由度
断熱材を成形する工程で、スラリーを型に流し込んで硬化させるキャスト成形技術を開発し、様々な形状の断熱材を作製することが可能となりました。また、断熱材の寸法や形状に関する様々な要望に対応するための製造技術開発も進め、大型の断熱材を得ることに成功しました。
【3】実炉による省エネルギー効果検証
実際の工業炉を使用して、従来のファイバーボードを断熱材として用いた場合と、開発断熱材を適用した場合における消費電力の比較を実施しました。開発断熱材を適用した場合では、ファイバーボードとの熱伝導率差を反映して、高温であるほど省エネルギー効果は大きくなり、1,500℃定値運転では消費電力が約13%低下する結果が確認されました。

3. 今後の予定
クアーズテック(株)は開発断熱材の事業化を目指し、引き続きユーザ評価や改良を行っていく予定です。
【用語解説】
※1 RCF(リフラクトリーセラミックファイバー) 主にアルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)から構成される非晶質の繊維をRCF(リフラクトリーセラミックファイバー)と呼びます。高断熱・軽量・弾力などの特性から、高温用の断熱材として広く用いられていますが、吸入による人体への有害性が議論され、2015年11月に取り扱い作業が特定化学物質取り扱い作業に指定されました。
※2 NEDOプロジェクト 戦略的省エネルギー技術革新プログラム。本プログラムは2012年度より実施しており、「省エネルギー技術戦略」で掲げられた産業、家庭、業務、運輸部門等における日本の省エネルギーに寄与する14の重要技術を中心に、中小・ベンチャー企業、大手企業、研究機関などに対して、開発・導入シナリオの策定等から事業化まで切れ目のない支援を行うものです
4.問い合わせ先
クアーズテック株式会社 技術開発センター 担当:藤田 TEL:0463-84-6659
クアーズテック株式会社
広報部 松本・篠生
Tel.03-5437-8411